馬のこと

なぜ?なに?競馬 『馬柱編』

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タイム(時計)についての簡単な考察

競馬の予想で欠かすことの出来ない要素の一つであるタイム(時計)。走破タイム、あるいは上がり3ハロンタイムや道中のラップタイム、はたまた調教タイムなどなど、タイム(時計)は競馬予想には付き物の予想ファクターであり、また数字の絶対性という信頼性もあります。私の好きなスポーツ新聞でも、大スポの西の仕掛け人・上田琢巳氏などは、予想のかなりの比重を「タイム」に求めております。

でもタイムなんて、予想の一つの要素に過ぎない、と思うんです。知らず知らずのうちに絶対視しすぎてしまい、むしろ予想の弊害にすらなりうる、と個人的には思うんです。ですからこのページでは「タイム(時計)を相対化してみよう」というのが狙いです。

コースレコードでタイム(時計)を考察してみる

以下は京都競馬場、芝、サラ系3歳以上の主なコースレコード一覧です。ザッとご覧ください。(※記録は2008年1月6日時点のものです)

距離タイム馬名
1,200m1:06.9エイシンバーリン(牝)
1,400m1:19.3スギノハヤカゼ(牡)
1,600m1:32.1ビハインドザマスク(牝)
1,800m1:44.7マルカキャンディ(牝)
2,000m1:57.5ゼネラリスト(牡)
2,200m2:10.2ダンツシアトル(牡)
2,400m2:22.6サンエムエックス(牡)
3,000m3:02.7ソングオブウインド(牡)
3,200m3:13.4ディープインパクト(牡)

いやぁ、流石に早いタイムです。皆さんも一度は見たことのある馬の名前もおありでしょう。それでは上記の各馬の個別成績はどうなっているのでしょう?

各馬の成績を考察してみる

馬名出走数成績備考
エイシンバーリン28戦6-7-2-13勝率.214 連対率.464
G1【最高2着1回】G2【2着4回】G3【4勝】
スギノハヤカゼ33戦7-3-2-21勝率.212 連対率.303
G1【最高2着1回】G2【2勝】G3【2勝】
ビハインドザマスク23戦10-2-2-9勝率.435 連対率.522
G1【最高4着】G2【1勝】G3【2勝】
マルカキャンディ37戦7-6-6-18勝率.189 連対率.351
G1【最高9着】G2【最高9着】G3【1勝】
ゼネラリスト14戦4-0-3-7勝率.286 連対率.286
G1【最高3着2回】G2【1勝】G3【1勝】
ダンツシアトル14戦8-0-2-4勝率.571 連対率.571
G1【1勝】G2【最高7着】G3【1勝】
サンエムエックス31戦5-2-1-23勝率.161 連対率.226
G1【最高10着】G2【最高2着】G3【未出走】
ソングオブウインド10戦3-4-3-0勝率.300 連対率.700
G1【1勝】G2【最高3着】G3【最高2着】
ディープインパクト13戦12-1-0-0勝率.923 連対率.1000 ※海外レース除く
G1【7勝】G2【3勝】G3【未出走】

やはり強豪揃いですね。この中では、ビハインドザマスク、マルカキャンディ、ゼネラリスト、サンエムエックスの4頭がG1レースの勝ち鞍もしくは連対が無いですが、サンエムエックス以外は最低でも重賞勝ちの経験がありますね。

しかし、別格であるディープインパクトを含めても、連対率が目立って良い馬は、エイシンバーリン、ビハインドザマスク、ダンツシアトル、ソングオブウインド、それとディープの5頭。残りの4頭は、まぁ、悪くはないけどこれくらいの馬なら他にもいます。

さて。それでもです。それでも約半分の馬が連対率ですら5割以下なのです。これだけの名馬が揃っているにも関わらず、です。これを多いと見るか少ないかと見るかで、タイム(時計)を重視するか、あるいは軽視するかの一つの分水嶺になるのではないでしょうか?私はもちろん、軽視派なのです。特に私は本命馬からの流し馬券派なので、本命馬が勝つ(最悪でも連対死守)というのが必須条件なのです。

上がり3ハロンタイムを考察してみる

上記に挙げた馬の中でとりわけ上がり3ハロンタイムが良い馬は、当たり前ですが、差し、追い込み馬です。その中でもものすごい末脚というイメージが強く、サンプルとして格好の被験馬であると思われるビハインドザマスクを取り上げてみましょう(ディープインパクトは別格すぎて参考にならないので置いといて)。

ビハインドザマスクは本当に凄い末脚の持ち主です。後方一気で33〜34秒台を記録し、なおかつ全馬中で最速の上がりタイムも当たり前、という馬です。それでも、そんな凄い馬でも、G1は勝てませんでした。G1で最速上がりを繰り出しながらもそれでも勝てなかったのです。

以下がビハインドザマスクの全成績です。

レース名距離着順タイム3F(3F順位)
未勝利1200m1着1.08.934.4(1)
4歳上500万下1200m1着1.08.435.7(1)
別府特別1200m5着1.08.734.0(1)
大濠特別1200m2着1.08.233.8(1)
瀬戸内海特別1600m3着1.35.334.0(1)
保津峡特別1600m3着1.33.834.5(2)
祇園特別1200m1着1.09.133.4(1)
飛騨ステークス1200m2着1.08.734.5(1)
ストークステークス1600m1着1.34.534.3(1)
北九州短距離ステークス1200m1着1.07.333.3(1)
小倉日経オープン1200m1着1.09.135.1(1)
セントウルステークス(G3)1200m1着1.07.633.2(1)
スプリンターズステークス(G1)1200m11着1.09.835.2(2)
高松宮記念(G1)1200m14着1.09.535.3(10)
マイラーズカップ(G2)1600m13着1.33.835.0(3)
都大路ステークス1600m1着1.32.1 R33.9(2)
安田記念(G1)1600m5着1.33.635.6(4)
朱鷺ステークス1400m5着1.19.934.0(6)
スプリンターズステークス(G1)1200m6着1.07.233.6(1)
スワンステークス(G2)1400m1着1.20.833.8(1)
マイルチャンピオンシップ(G1)1600m4着1.33.734.0(5)
阪神牝馬ステークス(G2)1600m5着1.33.835.4(4)
京都牝馬ステークス(G3)1600m1着1.36.034.5(1)

全23レースの成績は、10-2-2-9、勝率.435、連対率.522、複勝率.608となります。もっと詳しく見ていきましょう。

上がり3ハロンタイムが全出走馬中3位以内というのは、全23戦中18レース(.782)あります。その内、着順も3着以内(複勝圏内、つまり馬券に絡んでくる着順)というのが、つまりは複勝率でして、その成績が.608です。

しかし、オープンレース(重賞含む)のみで計算すると、上がり3ハロン3位以内が13レース中8レース(.615)ありますが、実際に3着以内に入っているのは5レースのみ。複勝率は5/13で.384です。

重賞のみに限定すると、上がり3ハロン3位以内が10レース中6レース(.600)ですが、実際に3着以内に入っているのは3レースのみ。複勝率は3/10で.300です。

クラス(レース数)上がり3位率複勝率連対率勝率
全レース(23).782.608.522.435
条件戦(10)1.000.900.700.500
オープン(13).615.384.384.384
重賞(10).600.300.300.300

こうしてみると、ビハインドザマスククラスの馬でも毎回末脚が爆発するわけではありません。正確に言えば、上がり3ハロンタイムだけで見ていくと生涯全レースを通じても非凡なタイムを連発しています。しかしそれがオープンレース辺りから必ずしも着順に反映されていません。

つまり、上の計算から明らかになるものと言えばクラスの壁です。

タイム(時計)でクラスの壁を見極めるのは難しい

全レースの成績が、勝率.435、連対率.522、複勝率.608という数字は決して悪くありません。ありませんが、こんな凄い追い込み馬ですらこの成績、という見方も出来ます。そして忘れてはならない「」の存在があります。上がり3ハロンタイムだけを見ていると「クラスの壁」にぶつかっている馬の見極めが非常に困難になり兼ねません。だってビハインドザマスクにしたってそうです。G3やG2はおろか、G1レースでも優秀な上がりを記録してますからね。それでも重賞クラスになると成績はやや不安定なのです。

タイム(時計)は、あくまでも予想の一つの要素

どうですか、皆さん。タイム。ちょっとでも見方が変わりませんか?まぁ、数字にはなにかしら普遍的な信憑性というか、妙な信頼感が知らず知らず湧いてくるものです。でもですよ。レコードホルダーの馬ですらこんなもんですよ。いや、こんなもんと言うのは失礼ですか。…まぁ、付け入る隙があるということですよ。

そして皆さん。忘れてはいけないのが、上記に挙げた馬の全てが、まごうことなきレコードホルダーなのです。普段予想をしている馬の多くは、その他大勢の非レコードホルダーなのです。そのようなその他大勢の中の一頭が、上記のレコードホルダー馬ほどに信頼できるかと言えば、多くの場合、首をひねらざるを得ません。全馬中最速走破タイム?上がり最速?まずは疑ってかかることから始めても遅くはないでしょう。

タイム(時計)が予想に不用だとは言いません。でもちょっと立ち止まって他にも目を向けてみてはいかがでしょう。たとえば、そう、私のように勘頼みとか…。

タイム(時計)についての簡単な考察 終わり



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